2045年の東京都の住宅市場
まずは最もマンション化率の高い東京都に的を絞って、将来の住宅市場を見ていきましょう。図6に国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)』(2024年推計)」から作成した2020年〜2025年の東京都の家族累計別世帯数の推移を示しました。
2019年推計では、東京都の世帯数は2030年をピークとして減少に転ずる予測となっていましたが、2024年推計では徐々に増加速度は低下するものの、2045年まで世帯数の増加が継続する予測に変っています。2045年の世帯数は796.5万世帯です。

図1:(東京都の家族類型別世帯数の推移(国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」(2024年推計)」より作成)
続いて、図7に家族類型別・年代別世帯数を示します。単独世帯が最も多い429.7万世帯、夫婦のみの世帯が126.6万世帯、夫婦と子から成る世帯が153.4万世帯、ひとり親と子から成る世帯が59.4万世帯、その他の世帯が27.4万世帯です。65歳以上の高齢者が世帯主の世帯(以下、高齢者世帯とします)は34.5%の275.0万世帯です。家族類型別の高齢者世帯数は、単独世帯の33.0%:142.0万世帯、夫婦のみの世帯の52.2%:66.0万世帯、夫婦と子から成る世帯の20.5%:31.4万世帯、ひとり親と子から成る世帯の39.9%:23.7万世帯、その他の世帯の43.1%:11.8万世帯です。

図2:「2045年の東京都 家族類型・年代別世帯数(同上)
2045年時点の需要をより明確にするため、図7を持家に居住する世帯と借家に居住する世帯に分解しましょう。図8に総務省の「2020年国勢調査」から作成した、東京都の家族類型別・年代別の持家割合を示します。この割合が2045年まで維持されると仮定して、家族類型別・年代別・所有形態別の世帯数を推計したものを図9に示します。

図3:2020年時点の家族類型別・年代別持家割合(総務省「2020年国勢調査」より作成)

図9:2045年の東京都 家族類型・年代別・所有形態別世帯数(国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」(2024年推計)」、総務省「2020年国勢調査」より作成)
単独世帯の持家が123.8万世帯、借家が305.9万世帯、夫婦のみの世帯の持家が81.1万世帯、借家が45.5万世帯、夫婦と子から成る世帯の持家が109.7万世帯、借家が43.7万世帯、ひとり親と子から成る世帯の持家が34.9万世帯、借家が24.5万世帯、その他の一般世帯の持家が17.7万世帯、借家が9.7万世帯と推計できます。
なお65歳以上が世帯主の世帯は、単独世帯の持家が61.8%:76.5万世帯、夫婦のみ世帯の持家が64.2%:52.1万世帯、夫婦と子から成る世帯が24.0%:26.3万世帯、ひとり親と子から成る世帯の持家が49.9%:17.4万世帯、その他の一般世帯の持家が54.8%:9.7万世帯と、特に持家世帯で高齢化が進行することがわかります。
総務省の「2023年住宅・土地統計調査」によると、2023年時点で、東京都における持家世帯の家族類型別の3階建て以上共同住宅居住割合は、単独世帯が50.9%、夫婦のみ世帯が51.0%、夫婦と子から成る世帯が42.5%、ひとり親と子から成る世帯が42.0%、その他の世帯が27.7%です。
この割合が変わらないと仮定すると、2045年の持家世帯のマンション居住世帯数は170.7万世帯(うち65歳以上が世帯主の世帯は86.7万世帯)と推計することができます。家族類型別の内訳は単独世帯が63.0万世帯(同38.9万世帯)、夫婦のみ世帯が41.4万世帯(同26.6万世帯)、夫婦と子から成る世帯が46.7万世帯(同11.2万世帯)、ひとり親と子から成る世帯が14.7万世帯(同7.3万世帯)、その他の一般世帯の持家が4.9万世帯(同2.7万世帯)です。
20年後には約65万戸が空き家に?
都心への集中が進んでいることから、2045年時点の東京都のシェアが27.0%まで上昇すると仮定すると、2045年時点の東京都のマンションストック数は約236.3万戸と推計できます。うち、築40年以上のマンション戸数は約130.4万戸です。
それに続いて今回推計した2045年のマンション居住世帯数は170.7万世帯ですので、単純計算(ストック-世帯数)で約65.6万戸が余剰(つまり空き家)となります。これは1棟平均を仮に300戸とすると、約2,186棟分です。賃貸や民泊で利用されるものも少なくないと考えられますが、それでも相当な数の空き家が発生することが予想されます。
「マンションは管理を買え」と言われますが、今後は、管理の悪いマンションから居住者が抜けていくことになるでしょう。最終的にスラム化するマンションが現れても不思議ではありません。
藤井和之(ふじいかずゆき) 不動産市場アナリスト
1987年 東京電機大学大学院 理工学研究科 修士課程修了、清水建設入社
2005年 Realm Business Solutions(現ARGUSSoftware)
2007年 日本レップ(現GoodmanJapan)
2009年 タス
2022年~現職
不動産流通推進センターの機関誌「不動産フォーラム21」ほか執筆・セミナー活動を実施
著書 大空室時代~生き残るための賃貸住宅マーケット分析 住宅新報出版
不動産証券化協会認定マスター、宅地建物取引士
MRICS(英国王立チャータード・サーベイヤーズ協会)メンバー
日本不動産学会、日本不動産金融工学学会、資産評価政策学会会員