USER INTERVIEW

ダイビル株式会社

自社開発システムからの切り替えで工数が約1/3に
ペーパレス化と大幅なコスト削減にも成功

2023年10月に創業100年を迎えたダイビル株式会社。「ビルを造り、街を造り、時代を拓く」という経営理念のもと、オフィスビルの賃貸を中心に1世紀にわたり事業を展開してきました。国内29棟、海外3棟の不動産を所有し、近年はホテルや介護住宅へも事業範囲を拡大しています。

そんなダイビル株式会社は、情報管理システムの刷新と業務効率化に向けて、2022年に統合資産ERP「@property」を導入。ルーティンワークの工数を約1/3に短縮するなど、大きな成果をあげています。同社システム室課長代理・村尾桂太氏に導入の経緯や効果、今後の展望について伺いました。

※所属および役職は取材当時(2022年)のものです。

ポイント

スクラッチシステムからの切り替えで業務効率が飛躍的UP
今後はAM領域での活用も視野に入れ、利用部門の拡大を検討中

課題

自社開発システムの機能不足
管理すべきファイル、データの分散
データ多重入力の手間とコスト

効果

入力作業の効率化により業務工数が1/3に
作業ミスが激減。印刷代も大きくカット
フリーレントや共同所有ビルの情報管理が効率化

【導入前の課題】不十分な機能とガラパゴス化のリスク

ダイビルでは約20年前にスクラッチ開発した情報管理システムを使用していましたが、村尾氏によると、時代の変化とともに必要な機能が変化し、次第にシステムの不便さを感じるようになっていったといいます。

「スクラッチ開発は自由度が高い一方、限界も感じていました。自分たちで改修しないとシステムが進化せず、ガラパゴス化してしまうのではないかという懸念もありました」(村尾氏)。

実際、20年前のシステムでは使える機能が限られているうえ、管理するファイルも複数に分かれており、帳簿を出力するために多重入力が必要な状況でした。

【導入経緯】重視したのは機能面。拡張性やUIも導入の決め手に

そこで村尾氏を中心に新システムの導入プロジェクトがスタート。各部門に9ヵ月にわたるヒアリングを行い、必要な機能を精査したうえでRFPを作成し、システムの比較検討に入りました。

「新システム導入には、多重管理からの脱却というテーマがありました。そのためにはデータの一元管理とあわせて、複数のシステムと連携し、情報を蓄積・出力できる機能が欠かせません。またコロナの影響もあり、電子承認によってペーパレス化を進めたいという狙いもありました」(村尾氏)。

@propertyはデータの自動集計、レポートの自動生成といった標準機能に加え、業務体制や要件にあわせて機能をカスタマイズできます。また、法改正には迅速なアップデートで対応します。導入にあたってはこうした@propertyの特性も決め手になったそうです。

「機能だけでなくインターフェイスなどを総合的に点数化してジャッジした結果、他のサービスより優れていることがわかったので@propertyに決めました」(村尾氏)。

【導入後の効果】1時間の作業が約20分に。アナログなミスも激減

導入後は@propertyを基幹システムに据え、会計システムやBIツールと連携させました。その結果、複数のシステムぞれぞれにデータを入力する手間は完全にカット。また、契約・請求から設備管理、工事管理まであらゆる不動産業務をカバーする「@property」の機能により、業務工数が約1/3に短縮されました。

「旧システムは機能が限られていたので複数のExcelファイルで作業する必要がありましたし、請求書を出す際も表紙と明細書を別々に印刷していましたが、@propertyのフォーマットを使えば何十社分もの請求書を一括印刷できます。結果、1時間ほどかかっていた作業が約20分に短縮されました。また、1ヵ所だけ入力すればあとはどんどん同期していくので、転記ミスも起こりません」(村尾氏)。

あわせて導入の狙いの1つだったペーパーレス化も、クラウド型の@propertyによって大きく進みました。

「@propertyの導入によって電子承認フローを実現することができ、コピー機のランニングコストや紙代は大幅に減りました」(村尾氏)

また、他の社員の方からは「共同所有ビルに対応していて良い」という声も上がっているといいます。共同所有ビルではオーナーごとに請求などの計算が必要で、オーナーの数が増えれば増えるほどその手間も増加します。@propertyはオーナーごとに所有率を登録し、所有率に合わせて自動で請求額などを算出することが可能です。さらに会計システムと連携し、各帳票も出力できます。

さらに村尾氏は入力項目についても言及しました。「@propertyは入力項目が非常に多く、打てない情報がほとんどありません。光熱費管理などは複雑な項目が多く、以前は項目数の限界を感じていましたが、今は好きな項目を作り直したり、増やしたりして管理できるようになりました」(村尾氏)。

【今後の展望】さらなる活用を視野に入れて。蓄積されたデータにも期待

ダイビルでは、法改正にいかに対応していくかを直近の課題としています。

「インボイス対応についてはバージョンアップされた@propertyの機能をしっかり理解し、請求書などのフォーマットを変更してお客様にきちんと説明できるようにしていけたらと思っています。また電子帳簿保存法についても新しいシステムが入ってきているので、@propertyとどのように連携させるか活用法を検討しているところです」(村尾氏)。

一方、不動産の運用判断には採算の計算や多くの情報の確認が必要で、一元管理で蓄積されたデータをいかに活用するかも大きなポイントとなります。

「現在、運用判断の面では@propertyを上手く活用できていません。現在利用していないグループにも拡張していき、AM領域でも機能させられるようにしていきたいですね。足りないものを増やしたいだけではなく、使っていないものを使い切ることが必要だと思っています。導入当初は慣れないことも多く大変という声もありましたが、半年ほど経った頃から業務が劇的に楽になったと聞いており、実感が出てきました。今後10年、20年と@propertyを利用し続けた時、蓄積したデータで何かシミュレーションできないかという期待もあります」(村尾氏)。